
ホテル雅叙園東京『極彩色の百鬼夜行』を終えて。2023年7月1日(土)~9月24日(日)開催
2025年09月24日 14:25
幽玄の光、夏の夜の宴の記憶。—去る七月一日より、ホテル雅叙園東京にて開催されておりましたアルテクルー様主催の『極彩色の百鬼夜行』が、九月二十四日の閉幕まで大変なご好評を賜り、盛況のうちに幕を閉じることができました。この場をお借りし、ご来場いただいた全ての皆様、並びに関係者の皆様へ、深く感謝申し上げます。
この催しは、単なる作品の展示に留まらず、歴史的建造物が持つ記憶と、現代の匠が生み出す光、そしてご覧になるお客様の感性が交差する、唯一無二の「物語」を体験する場でございました。
昭和の竜宮城とも称される、ホテル雅叙園東京の文化財『百段階段』。その場所自体が持つ圧倒的な物語の力と、「百鬼夜行」という妖しくも美しいテーマが、私共の器に新たな命を吹き込んでくれました。窯の炎の中で生まれた色彩が、歴史ある建物の静けさと照明の陰影の中で、これまで見せたことのない表情を覗かせたのです。
階段を一段また一段と踏みしめるごとに、日常から幽玄の世界へと誘われていく。そんな幻想的な体験の中で、私共の器が皆様を物語の奥深くへと導く案内人のような役割を担えたのであれば、幸甚の至りです。多くの方が足を止め、器の中に広がる小宇宙に、しばし心を遊ばせてくださるお姿を拝見し、作り手として深い感動を覚えました。
夏の夜に現れた、一夜の宴のようなあかりの世界。その記憶が、皆様の心の内で永く温かな光として輝き続けることを願っております。真右エ門窯はこれからも、日々の暮らしの中に、心豊かになる物語をお届けできるよう、作陶に精進してまいります。誠にありがとうございました。